otoscopeオトスコープについて
ビデオオトスコープを用いた 治療について
About otoscope
一般的な病院で用いられている手持ちの耳鏡でも、簡単な耳のトラブルなら治せるでしょう。 しかし、慢性化していたり何度治療しても治らない耳のトラブルは、通常の診療をしていてはいつまで経っても治すことはできません。 それはなぜでしょうか? 一番大きな要因は「見えていないから」です。 手持ち耳鏡というのは、「耳の手前側」から「少ない光量」で耳道内を観察する器具です。 そのため、耳の奥、特に鼓膜などを観察することができません。一方、ビデオオトスコープを使うと「耳の奥までスコープを挿入」して、「強く明るい光量」で耳道を観察することができます。 この見えるか見えないかの違いだけでも治療成績には大きく影響してきます。 特に慢性外耳炎の症例では鼓膜手前の凹みに細菌が増殖したバイオフィルムや耳垢が溜まっていることが多いのですが、これは手前からちょっと洗っているだけでは絶対に除去することはできません。 近くで病変を確認しながら洗浄をしていくことが耳のトラブルを改善させるために絶対的に必要になってきます。
当院ではこれらの治療を可能にするため、カールストルツ社のテレパック+という最新式のビデオ オトスコープシステムを導入しており、フルハイビジョン画質での耳道内の観察が可能となっています。
ビデオオトスコープ治療のメリット
- 視覚的に優れた診療を行うことができるため、より的確な診断や治療が可能です。
- 耳道内腫瘤の場合、生検や場合によっては根治につながる手術を実施できます。
- 外科手術と比較すると低侵襲であり、基本的に日帰りで処置を行うことができます。
ビデオオトスコープ治療のデメリット
- 全身麻酔下での施術となります。麻酔前検査や麻酔中の管理は徹底して行いますが、全ての麻酔処置には一定のリスクが伴います。
- 施術後に顔面神経麻痺、眼振、斜頸といった神経症状を認める場合があります。通常は一過性の症状であり、外科手術と比較して発生頻度は低いとされています。
- 耳道内腫瘤の全てが切除できるとは限りません。特に悪性腫瘍や根の深い腫瘤の完全切除は不可能であり、その場合は可能な限り生検を実施し、その後の治療方針の決定に役立てます。
- 耳の状況や施術の内容によっては、施術後に症状の悪化を伴う場合があります。そのような場合でも基本的にはすぐに症状がおさまるものがほとんどです。
- 全ての耳疾患を1回の処置で完治できるわけではありません。耳炎のコントロールや術後確認も含めて、複数回の施術が必要となる可能性があります。
事前のCT/MRI検査について
- 症状によっては、事前にCT検査を実施することで診断・治療に有益な情報が得られます。
- 何らかの神経症状を伴う場合はCT検査だけでなく、MRI検査の併用をおすすめいたします。
実際のビデオオトスコープによる処置(動画)
初診時
耳道は重度に狭窄し、スコープを入れることができません。
再診時
初診時からの初期治療により、耳道が開いたことでスコープが入るようになりました。 まだたくさんの耳垢が溜まっています。
オトスコープでの洗浄
耳道全体に汚れが溜まっていたため、オトスコープで細かい部分まで洗浄しています。
完治後
オトスコープ処置から1ヶ月後の状態です。耳道内は乾燥し、耳垢はほとんどありません。