case study病例集

【被毛による鼓膜への刺激】

被毛による鼓膜への刺激

2023.5.26
Before
After

【症例】

柴犬、10歳

【症状・経過】

耳を頻繁に気にするようになってきた。かかりつけでは外から観察してもらったが、特に異常はないと言われた。

【診断・治療】

本症例では、耳の入口や垂直耳道には異常はありませんでした。しかし、スコープで鼓膜手前まで見てみると大量の毛が落ちており、鼓膜を刺激していることがわかりました。

一般的な診察で使用される手持ちの耳鏡では光量が少ないことや距離の関係で、鼓膜までを評価することは難しいです。(やり方によっては鼓膜を確認できないことはありませんが)

外側に異常がなくても耳を気にする仕草が改善しないのであれば鼓膜付近に異常がある可能性がありますので、オトスコープなどで拡大視野、十分な光量で確認をする必要があります。

今回は両耳とも鼓膜への被毛の刺入が見られたため、同じように処置を行いました。
鼓膜には大きな穴は空いておらず、処置後に鼓膜の透明性も確認できたため、中耳炎までは発展していないと判断しました。

柴犬やパグ、フレンチブルドッグなど被毛が固く、真っ直ぐの犬種ではこのような事態が起こりやすいため、耳の汚れがなくても頻繁に耳を気にするようであれば、鼓膜までしっかり確認してもらうようにしてください。

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